裁判員制度なんてやめちまえ・その3

前の記事からの続きです。これは「その3」です。

裁判員制度についての問題点を指摘していますが、もう1つ、
今回は死刑判断について、「先例を重視する」との立場が取られましたが、
そもそも裁判員制度は、全ての刑事裁判を対象としているのではなく、
一部の重大事件のみを対象としています。

裁判員制度に関する法律では、
裁判員制度で扱う事件を、以下の2つだとしています。
一.死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
二.故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの

つまり、死刑判断を下す可能性が高い事件を扱うわけで、
それなのに、死刑についての判断は「先例を重視」するというわけです。

たしかに、死刑というのは人の命を奪う重大な刑罰で、
その判断基準は一貫している必要があるかもしれません。

だとするなら、なぜわざわざ裁判員制度の対象としているのか。

しかも、それがたくさんある中の1つに過ぎないのではなく、
ある意味ではそのようなものしか扱わないというのは、
一体全体、何がしたいのか全く分かりません。

死刑に関する判断基準を一貫させようというなら、
死刑判断が行われるものについては裁判員制度から外すなど、
対象事件についての整理が必要なわけですよね。

裁判官の下した判決に対して人々の批判が多いものに、
交通事故の問題なんかありますが、それは裁判員制度の対象外。

政治家の汚職事件もそう。振り込め詐欺だって対象外。

それらを入れろっていうことではありませんが、
ずいぶんと適当に対象事件を決めた感はないでしょうか。

その証拠に、麻薬の密輸に関しては多くの判断が覆されていますよね。

何でもかんでも市民を参加させればいいわけでもないわけで、
しっかりと対象犯罪を整理する必要があるし、
死刑が絡む場合はなおさらであるわけです。

こういう議論がしっかりなされているのかとても疑問で、
裁判員制度ができた当初は、3年後に再検討すると規定していたはずで、
でも、それもたいした検討もなく終わったわけですよね。

政治制度そのものもまさに「先例重視」になっている証拠で、
官僚支配の弊害以外の何物でもありませんね。

もっと真剣に制度について考えないと、
もっともらしいウソをついて呼び出しを断る人が増えるだけ。

正直者がバカを見る制度になるだけでしょうね。