「さよならテレビ」

明日から通常の生活に戻ってしまうわけですが、
金曜から始まると、2日行けばおやすみということで、ありがたいかな。

ということで、昨日はポレポレ東中野で「さよならテレビ」を見てきました。

東海テレビが制作したドキュメンタリー映画で、
東海テレビの報道部にカメラを向けた話題作です。

メディア自身が取材対象となるというのは画期的で、
今のテレビ局の現状とは何かを映すために作られたとか。

この記事を読んでいる方は、この映画を見に行くことはないかもしれませんが、
もし、行こうとしているなら、若干のネタバレ的なことも書きますので、
これから先を読むかどうかはお考え下さい。

ということで、感想なんですが、
なんとも薄っぺらい映画だなーというのが、自分の抱いた感想でした。

ただ、最後の1分間で、印象がガラッと変わりました。
なんとも冷や汗というか、嫌な汗をかきました。

フジテレビの深夜にたまに放送していた番組に「放送禁止シリーズ」があって、
フィクションなんですが、ドキュメンタリー風の映像が流れていって、
最後に、「実はこうでした」的な種明かしのような映像がちらほらと流されて、
「あなたには真実が見えますか?」という文字が出て終わるのです。

このシリーズのテーマは、
「事実を積み重ねることが必ずしも真実に結びつくとは限らない」で、
この映像と同じようなものを見せられた気がしました。

自分はメディアについて語るとき、
メディアが流している情報はありのままではなく、作られたものであって、
ありのままのように見えてしまうことあるが、決してそんなことはない、
そういう話をするんですが、
その視点がすっかり抜けていた自分が恥ずかしくなりました。

ただ、あんな終わり方をされてしまうと、
どこまでが本当で、どこまでが創作なのか、よくわからなくなりますね。

そこまでの意図をもって作られたラストではないのかもしれません。
「結局はこの程度なんですよ」くらいの意味しかないのかもしれませんが。

ただ、薄っぺらいと思ったのはその通りで、
そこが「さよなら」と言いたくなるところなのかもしれません。

監督のインタビューなどを見てみると、
いろいろな人を取材した結果、メインとして取り上げられた3人が残ったと。

それが意図したものなのか、自然にそうなったのかはわかりませんが、
アナウンサー、契約写真、派遣社員という3人ということは、
結局は、局の中枢の人物が避けられている結果になっているわけで、
その意味からも「結局はその程度のものだ」ということなのかもしれません。

ジャーナリズムを標榜するテレビ局は、その辺の会社と同じで、
組織の論理で動かされ、視聴率のことが優先される商業主義で、
結局はその程度なんですよ、って話かもしれませんが、
そんな話でテレビ局が済んでしまってはいけないし、
済んでしまうなら、まさに「さよなら」ですね。

東海テレビといえば、「セシウムさん事件」があります。
その話も出てきて、毎年全社集会を行って放送倫理について考えていると。

それでも、同じような放送事故を起こした話も映画に出てきて、
また、新人記者が重大な放送事故を起こしそうになる話まで。

あのシーンはいったい何が言いたかったのかなーと。
この程度だから仕方ないんだよていう自虐的な話だったのか。

いやー、それが本当に反省なのかなーと思ってしまいます。
むしろ、開き直っているようにしか見えない。
悲劇のヒーロー気取りのように見えて仕方ありませんでした。

「この程度なんですよ、テレビ局は」ということなんでしょうかね。
いろいろな意味で、「残念だ」と感じる映画でした。

ただ、リテラシーを鍛えるという点ではよかったかもしれません。

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